「必死に働く医療スタッフに」 薬の町の少彦名神社でお守り求める人絶えず

無病息災・病気平癒の御神徳により、「コロナウイルス退散」を祈願する少彦名神社=大阪市中央区

製薬会社が集まる大阪・道修町(どしょうまち)で、薬の神様をまつる少彦名(すくなひこな)神社(大阪市中央区)のお守りを求める人が増えている。

江戸時代にコレラが流行した際に薬とお守りを授与して病気平癒を祈願したという神社。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、全国から収束を願う祈りが届いている。

4月中旬、同神社では新型コロナウイルス退散祈願を兼ねて、疫病神を払う神事「鎮花祭(はなしずめのまつり)」が静かに営まれ、別所賢一宮司は「感染症にかからないよう、ご努力を重ねていただきたい」と話した。

いまでこそ一般の信仰者も多いが、元々は道修町で商いをする薬種仲買仲間の信仰のため、240年前の安永9(1780)年に、京都の五條天神宮から日本の医薬の神・少彦名命(すくなひこなのみこと)を分霊して、中国の医薬の神・神(しん)農(のう)炎(えん)帝(てい)とともにおまつりしたのが同神社の始まりだ。

江戸時代の大阪には薬種仲買仲間が124軒もあり、品質や容量を検査したのち全国の薬問屋や薬屋に卸していた。

別所宮司は「薬の吟味は大変に難しく命にも関わるため、神のご加護によって職務を正しく遂行しようと考えたのです」と信仰の目的について語る。

「油の神様」や「菓子の神様」などとして同業者が信仰する神社は、その地域の氏神が一般的で、職能団体がその地域に新たな神社をつくった例は全国的にも珍しい。

「薬の神さんとしては東京の日本橋や、京都の二条、名古屋にもうちから分霊した神社がありますが、いずれも大きな神社の境内にあるような『祠(ほこら)』です。拝殿があって神主が常駐する神社形式はうちだけ」と説明する。

今、全国各地から問い合わせが相次いでいるのは、毎年、11月に営まれる秋の例大祭「神農祭」で配る五葉笹を飾る張り子の虎をモチーフにしたお守りなど。

関西でコレラが大流行した幕末の文政5(1822)年に、道修町の薬種仲買仲間が開発した丸薬と一緒に、病除け祈願した虎の張り子をお守りとして一緒に配ると、病気が鎮まったと伝わることから、その御利益にあやかろうと人気が出ている。

電話などを通じた注文は増加傾向にあり、現在、例年比の2割増となっている。

「先日は広島の病院関係者の方から、毎日必死で働くスタッフに配りたいという手紙をいただき、25個送らせていただきました」。

別所宮司は「今年の神農祭は開催できるか心配なところですが、張り子の虎を授かることで、感染予防意識を高め、健康のありがたさを感じる機会にしてほしい」と話している。

 

引用元:産経新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200507-00000501-san-life

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