【連載】にっぽんの逸品を訪ねて
徳島市の中心地にある徳島眉山天神社(びざんてんじんしゃ)は、季節感あふれる手書きの御朱印が話題になっています。
月替わりの御朱印を楽しみに、毎月のように訪れる参拝者もいるほどの人気ぶり。
近くには「滝のやき餅」や「徳島ラーメン」、ブランド地鶏「阿波尾鶏」、そして最近増えてきた「徳島モーニング」の名店もあります。
前回ご紹介した鳴門市と併せて訪れたいグルメが楽しみな町です。
連載「にっぽんの逸品を訪ねて」は、ライター・中元千恵子さんが日本各地の逸品を訪ね、それを育んだ町の歴史や風土を紹介します。
縁結びや商売繁盛などさまざまな願いをかなえてくれそうな四社の神をまつる神社
徳島駅を下りてまもなく、市のシンボルであるこんもりとした眉山が見えてきます。
そのふもとにある徳島眉山天神社は江戸時代の創建。眉山の緑を背景に朱塗りの社殿が映えるすがすがしい境内です。
境内には四つの社があります。学問の神様といわれる菅原道真をまつる天神社、商売繁盛の神様とされる眉山稲荷神社、心願成就に霊験ありとされるタヌキをまつる九人神社、そして縁結びや安産祈願、病気平癒(へいゆ)祈願などに御利益があるとされる姫宮神社です。
なかでも、古くから「姫宮さん」と親しまれてきた自然石をまつった姫宮神社には、縁結びを願う若い女性のお参りが増えています。
徳島眉山天神社の参拝者が楽しみにしている一つが、宮司の奥様が心を込めて手書きする御朱印です。
文字だけの御朱印もありますが、人気なのは季節の風物詩が書き込まれる月替わりのもの。
境内の四社を併せて見開きで書かれるのですが、色合いもバランスも美しく、夏は夏らしく、冬は冬らしい絵が入っています。
ひと目でいつ訪れたのかがわかって、参拝と旅のよい思い出になります。
“ヤキモチ”でお見合い成立!? 約430年変わらず愛される名物「滝のやき餅」
神社参拝のあとは、静かな寺町を5分ほど歩いて「和田の屋 本店」へ。
藩政時代から市民の憩いの場だった大滝山のふもとに、ちょうちんを下げた風情ある建物が見えてきます。
本店は、さだまさし著の小説『眉山』などにも登場する徳島市の有名店です。
店の名物は430年ほどの歴史がある「滝のやき餅」。
眉山湧水群の一つ、「錦竜水(きんりょうすい)」で炊いたあんを、石臼でひいた米粉ともち米粉の皮で包んで、一つひとつ手焼きしたお菓子です。
上品な甘さのあんと、ぱりっと香ばしい皮の取り合わせが絶妙。お茶も徳島名産の「阿波晩茶」です。
「滝のやき餅」の歴史は古く、1585(天正13)年に蜂須賀氏が阿波へ入り、徳島城を築いた祝いに献上されたといわれます。
藩主愛用の「錦竜水」の使用を許可され、藩主の御用菓子となりました。
2階の座敷席は、昔からよくお見合いで使用されるのだとか。
「ここでお見合いをすると縁談がまとまるといわれているんですよ」と店のおかみさん。
縁起がいい場所にいるようでうれしくなってきます。仕事や友人、金運などさまざまな良き縁が結ばれますようにと願いました。
モーニングはここで決まり! 天然酵母の自家製パンと旬の野菜や果実がたっぷり
最近、徳島市ではモーニングのおいしい店が増えています。
なかでもおすすめは徳島駅から徒歩5分の「O-ba’sh cafe.(オーバッシュカフェ)」。
天然酵母を使った自家製パンと徳島産の旬の野菜やフルーツを組み合わせたメニューが人気の店です。
パンは、近くにあるベーカリー「O-ba’sh crust(オーバッシュクラスト)」で焼き上げています。
熊本産小麦と3種類の自家製天然酵母を使い、パン生地にバターや砂糖、油脂、ミルク、添加物、保存料は不使用。
「素材のもつ風味や良さを生かしたい」とシンプルなパンを作りはじめ、今では毎日80種類以上のパンを焼いているそうです。
モーニングはAとBの2種類があって、どちらもパンとトッピング、飲み物が選べます。
この日は、パンはベーグルやイングリッシュマフィン、小豆パンなど9種類、トッピングは徳島産イチジク&キウイジャム、美郷無農薬ブルーベリージャム、自家製レーズンバターなど9種類、飲み物も週替わりスープやオーガニック紅茶など11種類ありました。組み合わせを考えるだけでもわくわくしてきます。
モーニングBは野菜もたっぷり。毎週15種類以上の県産の新鮮食材を仕入れ、果実のジュースなども手作りしているそうです。
こんなモーニングを食べたら、朝から元気に充実した1日が過ごせそうです。
徳島で絶対に食べたい2大名物。昼は徳島ラーメン、夜は阿波尾鶏の名店へ
徳島の名物といえば有名ご当地ラーメンの一つ、徳島ラーメンです。多くの店がありますが人気の一軒が「奥屋」。
県内に3店舗あり、一番新しい「徳島ラーメン奥屋 北島店」はBGMにジャズが流れ、テーブルも広く、女性のひとり客やファ
ミリーも食事がしやすい雰囲気です。
徳島ラーメンは豚骨ベースにしょうゆをきかせた“茶系スープ”と甘辛く煮た豚バラ肉のトッピングが特徴。
生卵を落としてすき焼き風に食べるのもおすすめです。
一見すると味が濃く見えますが、奥屋の徳島ラーメンはコクがあるのに後味はすっきり。
濃厚な豚骨しょうゆスープと中細ストレート麺がお互いを引き立て合います。
「大切にしているのは麺とスープの相性。スープのコクを生かすもちもちとした独特の食感の麺は奥屋のオリジナルです」と代表の奥田満夫さんが話してくれました。
夜の食事は徳島駅前にある「焼鳥居酒屋 とりとり」へ。備長炭を使ってじっくりと焼き上げる焼き鳥を中心に地元の野菜を使ったメニューも豊富で、住民はもちろん、出張族や観光客にも長年愛されている店です。
「とりとり」でぜひ味わいたいのが、全国シェアNO.1のブランド地鶏「阿波尾鶏」。
身がしまってほどよい歯ごたえがあり、脂肪は少ないのに甘みとコクがあるのが特徴です。
コース料理では、キモ焼き、ももミンチ入り卵焼き、ささ身のフライなど、さまざまな料理法で味わえました。
もも焼きはジューシーでうま味たっぷり。パリパリの皮もたまらないおいしさです。
ドリンクは、凍らせたスダチを入れた「すだちゴロゴロサワー」を合わせると、さっぱりといただけます。
最後は、お米の代わりにソバの実を使った「そば米汁」。野菜たっぷり、スダチも入って、やさしいだしの味が飲んだあとのシメにぴったりです。
【問い合わせ】
・徳島眉山天神社
https://www.bizan-tenjinsha.org/
・和田の屋
・O-ba’sh cafe.
http://www.o-bashcrust.com/cafe.html
・徳島ラーメン奥屋
http://okuya.co.jp/
・焼鳥居酒屋とりとり
https://toritoritokushima.owst.jp/
引用元:朝日新聞デジタル&[アンド]
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191211-00010002-asahiand-life