神社や寺を参拝した記念にもらえる御朱印。

それに着想を得た第三セクターのローカル鉄道各社が個性あふれる「鉄印」を作り、観光客を呼び込む企画を7月からスタートさせた。

参加する鉄道会社すべての鉄印を専用の「鉄印帳」に記帳すれば、「マイスター」に認定される。

「鉄印」発起人のくま川鉄道・永江友二社長

鉄印企画を思いついたのは、九州・熊本の南部を走る小さなローカル線の社長。妻が持っていた御朱印帳がきっかけだった。

全国の地方鉄道の沿線地域を盛り上げるために音頭を取ったが、みずからの路線は7月の豪雨で被災し、運休に追い込まれた。

復旧に向けた苦しい日々が続く一方、プロジェクトは人気を博している。

現在の心境を聞いた。 「寺院巡りをしない家内が、なぜか御朱印帳を持っていて『いまは、みんな持ってるでしょ』と言うんです。そこに、お客さんを呼び込むヒントがあると感じ、『御朱印帳の鉄道版が作れないか』と考えました」

そう話すのは、くま川鉄道の永江友二社長。このアイデアを第三セクター鉄道等協議会の事務局に提案したことで、鉄印帳はスタートした。

2019年の夏のことだった。 「前向きな会社もあれば、『うちでは売れない』と遠慮がちな会社もありました。でも、40社みんなでやることに意味がある。売れ残った会社があれば、そこに客を誘導すればいいと考えました。

40社のマークが入った鉄印帳を作って、みんなで売り、乗ってもらって神社のように300円ぐらい頂戴して記帳すれば、わずかでも収入になる。乗りテツたちも、『全社をコンプリートしたい』という気持ちになるし、反響が楽しみでした」

くま川鉄道の「鉄印」

話は進み、鉄印をどんなものにしようかと悩んだ永江社長は、同級生で書家の佐近渓雪さんに、一筆を依頼する。

「最初は手書きしてハンコを押そうと思ったんですが、私は字が下手くそ(笑)。

それで彼女に、『お金は払えないけど、ひと肌脱いで』ってお願いしたんです。

地元の神社で、国宝でもある青井阿蘇神社のお守りにある、龍をイメージして描いてくれました。

うちの鉄印を見て、『もう少し工夫しなくちゃ』と変更した会社もあったそうです(笑)」  2020年7月10日のスタートを心待ちにしていたが、直前の7月4日に、熊本をはじめ九州を豪雨が襲う。

「車両も水に浸かりましたし、鉄橋も流されて、復旧までには3~4年かかる見込みです。そんな状況だったので、『くま鉄さんは外そうか』と、他社さんにお気遣いいただきましたが、あくまで40社でやるから意味がある。ぜひ参加させてほしい、と主張しました。

いまは運行できないので、うちだけネット販売をさせてもらっています。各社さんが楽しんで企画をやっていることが、非常に嬉しいです。

4年後の2024年にくま川鉄道は100周年を迎えます。それまでに必ず復旧し、乗りに来たお客さんには、私の下手な字でも、記帳させていただきたいなと思っています」

くま川鉄道の鉄印をネットで購入した代金は、復旧のための資金に充てられる。

頑張れ、くま川鉄道! 写真提供・くま川鉄道

 

引用元:SmartFLASH
https://news.yahoo.co.jp/articles/e3e01df88d10b7135284bf37da23f4aa08f93883