過熱気味? 「御朱印集め」で気をつけたいこと

そもそも御朱印とは?

お寺や神社の「御朱印(ごしゅいん)」を集める人が増えています。
台紙となる御朱印帳は、神社仏閣でオリジナルの冊子を求めることもできますが、街の文房具店などでも素敵なデザインのものを見かけるようになりました。
期間限定など様々なデザインの御朱印を用意する神社仏閣も増える一方で、長蛇の列やマナーの悪さが問題になることも。
読売新聞の掲示板「発言小町」にも、これから御朱印集めを始めたいという人からの質問が投稿されました。

トピ主の「いちごケーキ」さんは、御朱印集めに興味を持ちました。
ただ、同じ冊子に複数の神社の御朱印を書いてもらっても良いのか、調べてもわかりません。
「神様が違っていても喧嘩はしないのですか?」と「発言小町」に問いかけました。
回答を寄せた人の中でも、御朱印帳を寺院用と神社用とで分けるべきかどうかで、意見が分かれました。

そもそも「御朱印」とは、どんなものなのでしょうか。

「幸せが舞い込む御朱印ブック」(コスミック出版)など御朱印に関する著書の多い佛教大学教授(民俗学)の八木透さんに聞いてみました。
八木さんによると、「御朱印」という言葉は仏教のご本尊などの宝を描いた「御宝印(牛王宝印)」に由来しています。
古くは身分の高い人や宗教者が札所や寺院で写経し、奉納した際に授与されたもので、江戸時代になって庶民に社寺参詣が広まると、写経を納めなくても参拝の証しとして授与されるようになりました。
明治時代には神道と仏教との区別を明確にしようとする宗教政策がとられ、寺だけでなく神社でも御朱印が授与されるようになります。
かつては印を押しただけの御朱印が多く、今おなじみの手書きの御朱印が増えたのは、戦後からなのだそうです。

最近、御朱印に興味を持つ人が増えたことについて、八木さんは「2000年代からのパワースポットのブームがあるのでは。
パワースポットの多くは由緒ある神社仏閣で、その場所に行った証しとして御朱印が人気になったのではないでしょうか。
日付が書かれますし、墨書きと朱印のコントラストにはアート性もありますね」と話します。
2008年頃からは御朱印を専門に扱った本も次々と出版され、最近では訪日外国人が記念に御朱印を受けることも増えたそうです。

これが正しい「御朱印」の受け方

「日本人は無宗教だといわれることがありますが、私はそう思いません。御朱印を受けることは神や仏と縁を結ぶことを意味しますから、御朱印は神仏の分身と同じだとも言えるでしょう。
マナーを守って、静かな心で受けるのが良いと思います」と八木さんは強調します。

旅の思い出代わりにスタンプラリーのような感覚で、参拝せずに御朱印だけを受け取ったり、時間がないからと神職や僧侶を急かしたりするのは、マナー違反になります。

御朱印を受けるとき、まず山門や鳥居から寺社に入り、手水(ちょうず)舎があればそこで手と口を清めます。
心静かに参拝し、その後に社務所や寺務所、御朱印の受付窓口で御朱印を申し込みます。御朱印帳を持っていれば、書いてほしいページを示して渡し、300~500円を納めます(金額は寺社によって異なります)。
もし御朱印帳を持っていないときは、手のひらサイズの半紙に書いたものを受けることもできます(半紙は自分で御朱印帳に貼ります)。

「御朱印帳自体が複数の寺社の御朱印を受けるためにあるものなので、異なる神様または仏様の御朱印を同じ御朱印帳でいただくことは、基本的に問題ありません」と八木さんは言います。

御朱印には寺のご本尊の名前や神社の名称、日付などが書かれ、印を押されるのが一般的です。
その場で寺社の方が一筆ずつ毛筆で書くため、静かに待ちましょう。くれぐれも急かしたりしないように!
状況によっては、あらかじめ書き置かれているものを頒布されることもあります。

ただし、すべての寺社で御朱印を出しているわけではありません。職員が常駐していない寺社もありますし、宗派などの考え方によって授与しないところもあります。

集めた御朱印帳は33冊! 達人おすすめの御朱印は

最近報じられることも多い、インターネット上での御朱印の転売について、八木さんは「日本には、人に代わってお参りするという『代参』という習慣もありますが、あくまで御朱印は参拝の証しとして受けるもの。
寺社に納めた額の数十倍もの値段をつけて商品として転売するという行為は、道義的な意味で問題です。
きちんと神仏と縁を結べていない御朱印を手に入れても、御利益は望めないのでは」と話します。

写真家のemyさんは、御朱印の収集家としても知られています。全国1000社近くの寺社に参拝し、これまで集めた御朱印帳は33冊。
女神を奉る神社だけを集めた写真集「メガミサマノカタチ」(扶桑社)を出版したemyさんにとって、御朱印帳は「後になって見直すことで、そこを参拝した後に何かしら人生や運気に変化があったことに気づく、お守りのような存在」と話します。

また、「同じ御朱印帳に寺院と神社の御朱印を集めても良いか」との疑問について、一般的には分ける決まりはないとされていますが、emyさんは「場所によって、混在した状態の御朱印帳を拒まれる神社やお寺もあったので、お寺と神社の御朱印帳は分けておいた方が無難ですよ」とアドバイスします。

さらにイチオシの御朱印などについて聞いたところ、「素敵だな……と思う御朱印は、大阪の姫嶋神社の御朱印です。
宮司さまやご家族が丹精込めて書かれる文字や判子が、とても美しくて大好きです」と、美しい御朱印を見せてくれました。

また、お気に入りの御朱印帳については「数が多すぎて、挙げきれませんね(笑)。
あえて言うなら、静岡県にある伊豆山神社の御朱印帳のデザインが好きです」とのことでした。

今も昔も願いを込めて集める御朱印の数々。
マナーを守って、大切に集めていきたいですね。

 

引用元:大手小町(OTEKOMACHI)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191127-00010000-otekomachi-life

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