岡山県の倉敷市美観地区の阿智神社(同市本町)にある県天然記念物「阿知の藤」の樹勢を回復させる3年がかりのプロジェクトが終了し、久しぶりに藤棚いっぱいに薄紫色の花房を垂らせた。藤の木の移植で実績がある樹木医塚本こなみさん(70)=静岡県=が監修。つるを大幅に間引いたり棚を改修したりする“大手術”を行い、再生に成功した。

薄紫色の花を付けた阿知の藤=4月27日

 阿知の藤の品種はアケボノフジで、推定樹齢300~500年。4月下旬から5月上旬に花を付ける。2001年ごろには枯死寸前になり、地元有志らが世話をして樹勢を保っていたが、再び衰えが見られたため、塚本さんに依頼し、17年度から3年計画で回復を図ることにした。

阿知の藤の回復状況をチェックする樹木医の塚本さん=2月

 塚本さんは、多くのつるが締め付け合い、養分が行き渡らないことが衰弱の原因と指摘。18年1月から複雑に絡んでいたつるを全てほどき、腐食部位などを除去して従来の3分の1程度に剪定(せんてい)した。保水性が高まるよう土壌を改良し、藤棚の高さも管理や観賞がしやすいよう約6~8メートルから約3メートルに改修するなど今年3月まで作業を続けた。

 地元住民らでつくる「あちのふじ応援団」のほか、県や市が補助金で支援し、地元経済界も資金集めに協力するなど官民一体で取り組んだ。

 「有望株を伸ばす」という塚本さんの治療方針で、剪定直後は幹や枝が大幅にボリュームダウンしたが、その後はぐんぐんと成長。19年は棚の2~3割程度を埋めるまで回復した。今年2月に視察に訪れた塚本さんも「予想通り回復している。木の体力も戻り、まだまだ長く生きられる」と太鼓判を押した。

4月下旬になって次々と開花したが、阿智神社は新型コロナウイルス感染拡大防止のため今月3~5日に予定されていた藤見の会を中止にし、会員制交流サイト(SNS)で開花状況を発信した。新井俊亮宮司(35)は「皆さんの協力で再び立派な花が咲くようになった。来年はぜひ現地で香りも感じてほしい。地域のシンボルとして大切に守っていきたい」と話している

 

引用元:山陽新聞デジタル
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200511-00010000-sanyo-l33