「推し寺」を作ろう! 寺社のクラウドファンディング増加中 大原観音寺の屋根修理も

クラウドファンディングを活用して屋根を修理した大原観音寺の薬師堂

あの戦国武将ゆかりの寺も挑戦

由緒ある建物や寺宝の保存、地域に役立つプロジェクトの費用にと、インターネットで小口の資金を集める「クラウドファンディング(CF)」に取り組む寺社が増えています。「これをきっかけに、お寺のファンになってくれれば」というのも狙いの一つで、限定グッズやイベント招待といったお礼が出ることもあります。

歴史散歩やご朱印集めに興味があるなら、ご縁を結んで「推し寺」にしてみては?

豊臣秀吉の腹心として活躍し、大河ドラマやゲームにもよく登場する戦国武将・石田三成。ゆかりのある滋賀県米原市の大原観音寺は2018年、CFで集めた資金で老朽化した屋根を修理しました。

三成が少年時代に寺小僧として仕えた寺で、立ち寄った秀吉を3杯のお茶でもてなして気に入られ、部下に取り立てられたという逸話の舞台です。

歴史豊かな古寺ですが、薬師堂の屋根が崩れ始め、修理が必要になりました。地域の人口減少で檀家(だんか)が減っており、林昭一住職は「新たなご縁につながれば」と、CFに挑戦しました。

「三成公のお寺を守りたい」と訴え、「屋根瓦に寄進者の名前と願い事を書き込む」「落慶イベントに招待する」といったお礼を用意したところ、歴史ファンからの応募が相次ぎ、133人から約81万円が集まりました。

「お寺のピンチ」の話題はネット上で広がり、「ゲームで三成公を知った若い女性など新しい参拝者が増えました。何回も来てくださる方もいます」と林住職は話しています。

神奈川県横須賀市の浄楽寺も18年、583人から約640万円を集めて仏像収蔵庫を耐震改修しました。鎌倉幕府の有力者・和田義盛ゆかりの寺で、仏師・運慶の真作として国の重要文化財に指定された仏像を5体も収蔵する、知る人ぞ知る名刹です。

静かで落ちつきがありながら、非日常を感じさせ、心をリフレッシュさせてくれる境内の空気。「来ていただければ、きっと良さがわかっていただけると思っていますが、お寺に敷居の高さを感じている人も多いのでは」と土川憲弥副住職は話します。

そこで、浄楽寺とのつながりを感じてもらえるようにと、特製ご朱印帳や、仏像拝観料が無料になる「サポーター認定証」などのお礼を用意しました。

寺では写経会などの「プチ修行体験」も開催しています。土川副住職は「2度3度と気軽に足を運んでいただき、いずれは『なじみの寺』と感じてもらえれば」と期待しています。

モミジで彩られた光林寺の参道

地元を盛り上げたいというお寺も

宇都宮市の光琳寺は同年、参道にモミジの木を植える費用約83万円をCFで集めました。

門前の「もみじ通り」は東武宇都宮駅からほど近く、おしゃれな飲食店や雑貨店の起業が相次ぐ注目スポットです。光琳寺もイベント会場として境内を貸し出すなど、地元を盛り上げるのに協力していました。

今回のCFは、「もみじ通りなのにモミジがない。写真に映える名物スポットがほしい」という地元の声に手を上げたものです。

自己負担で植樹することも出来ましたが、井上広法副住職は「もみじ通りの仲間になってくれる人や、寺に関心を持ってくれる人とのつながり作りに」と、CFに挑戦。特製ご朱印帳や、「紅葉の見頃を知らせる手紙」などのお礼を用意しました。

「地元や知り合いからの応募しかないかも」といった心配もありましたが、支援者の半分以上は「全く知らない人」からで、県外からの支援も目立ったそう。新しいご縁につながったようです。

CFは専門の仲介サイトに様々なプロジェクトが掲示されていて、計画やお礼の詳細についての説明を読み、気に入ったら応募して資金を出す仕組みです。

仲介サイト大手「READYFOR(レディーフォー)」によると、寺社のCFは一口数千円からの小口資金で、100万円前後を集める計画が多いそうです。

一般のCFは、資金の提供額に見合った価値のお礼を約束することが少なくありませんが、寺社の場合、特製記念品や式典招待などの「ご縁」を感じさせるお礼が主流のようです。

寺社によるCFが増えたきっかけの一つが、同社が17年に仲介した鳥取県三朝町の国宝「三佛寺投入堂」の参道修復事業だそうです。

16年の鳥取県中部地震で参道が通行不能になった際、迂回(うかい)路の整備費として約900万円を集め、寺社関係者の間で話題になりました。

同社だけでも19年に仲介した寺社CFは20件を超え、前年の倍以上。今後も増えていきそうです。

寺社のCFが多い仲介サイトは、他にも「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」や「マクアケ」などが有名です。

サイトを開いて、「寺」や「神社」のほか、「伝統文化」「歴史」「ソーシャルグッド」などのキーワードで検索するのがお勧めです。

過去に行われた寺社のCFには、以下のような事例がありました。

◇群馬県・長学寺「樹齢600年の大銀杏が台風で倒木。再生保護に挑む」
◇和歌山県・大泰寺「不動明王像修復プロジェクト」
◇福井県・照恩寺「固定観念を崩せ!テクノ法要で仏教を身近に」
◇広島県・米山寺「戦国武将・小早川隆景の小早川家墓所を復旧するためには、あなたのお力が必要です!」
◇大阪府・大蓮寺「人と地域をつなぐ、お寺の終活センター『ともいき堂』建設へ」

 

引用元:大手小町(OTEKOMACHI)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200205-00010000-otekomachi-life

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