「ベストシティ部門・1位」の京都 5つのエリア

2020年夏の開催が迫るオリンピック・パラリンピックや2025年大阪万博への期待から、東京・大阪の地価高騰が続いている。

それに伴い上昇する物件価格の高騰に、賃料相場は対応しきれず、大都市圏の不動産投資利回りはジワジワと低下傾向にある。

そのようななか、一人勝ちの状況となっているのが京都だ。本記事では、不動産投資を見越した「観光地」としての京都について見ていく。

清水寺

京都「洛中、洛東、洛西、洛南、洛北」エリアの魅力

京都市は、イギリスの有名旅行誌「Wanderlust Travel Awards 2018」において、「ベストシティ部門」の1位に選ばれました。2017年に続いての連覇となり、観光地として世界的に注目を集めています。

京都市は大まかに「洛中、洛東、洛西、洛南、洛北」と呼ばれる5つのエリアに分けられます。

京都の中心部を指す「洛」という言葉は、今でも京都の至るところで見かけます。地方から東京へ行くことを「上京」と言いますが、地方から京都へ行くことは「上洛」と言われています。

平安京は中国の都、長安と洛陽をモデルに設計されたと言われていますが、平安京の中央を走る朱雀(すざく)大路から西側の右京は長安、東側の左京は洛陽の影響を強く受けており、そのため右京は長安、左京は洛陽と呼ばれていたそうです。その後、右京は次第に衰退し、左京の別称であった洛陽が、平安京そのものの別称として残ったのです。

◆洛中エリア

洛中エリアは、京都市内で一番資産価値が高いと言われている田の字地区をはじめ、京都で最もにぎわう四条河原町など、繁華街が広がっています。

京都では京都の中心部を「洛中」、周辺を「洛外」と分けて呼び習わしており、洛中は「京都の中の京都」であるといえます。では、洛中と洛外の境界線はどこになるかというと、豊臣秀吉が天下統一後、京都の周囲に築いた御土居(おどい)の内側が洛中、その外側が洛外という認識です。

現在の行政区分でいくと京都市の中心部を占める上京(かみぎょう)、中京(なかぎょう)、下京(しもぎょう)の三区が洛中、それ以外が洛外といえるでしょう。古くからの老舗飲食店やホテル、百貨店も数多くあり、ショッピングスポットが充実しています。

京の台所・錦市場もこのエリアです。河原町の繁華街を北に行くと、御所(京都御苑)エリアです。学問の神様・北野天満宮や二条城などは、修学旅行の定番コースになっています。

◆洛東エリア

洛東エリアの中でも、東山界隈は、銀閣寺や平安神宮、清水(きよみず)の舞台で知られる清水寺など有名な神社仏閣が点在する、京都観光の目玉となるエリアです。桜の季節・紅葉の季節はもとより、年間を通して多くの人が訪れます。

東山では、人力車を利用しての観光案内も人気です。車が入れない石畳の小路も、人力車ならスイスイ巡れます。また、洛東エリアには有名な「祇園」もあります。紅殻格子(べんがらごうし)と犬矢来(いぬやらい)の祇園情緒あるお茶屋が軒を連ねる花見小路は、しっとりとした京の趣が感じられると観光客にも人気です。

◆洛西エリア

洛西エリアは、金閣寺や龍安寺など由緒ある古い寺院が集中している観光スポットです。周辺には嵐山や嵯峨野など、歌に詠まれた景勝地のほか、名所旧跡が沢山あります。龍安寺の石庭は世界遺産にも登録されています。峡谷を走るトロッコ列車や保津峡の川下りなど、ほかのエリアにないアクティブな観光をできるのも魅力です。

また、洛西エリアには東映太秦映画村があり、江戸時代の街並みや長屋など、テレビや映画の撮影で使われるセットを見学することができます。

◆洛南エリア

弘法大師が開いた東寺や西本願寺、小野小町で有名な随心院や醍醐寺なども洛南エリアにあります。京都市内からは少々距離がありますが、京阪電車、地下鉄、近鉄電車など多くの電車やバスが走っているので移動に便利な地区です。

洛南の伏見は日本を代表する酒どころでもあり、川沿いに立ち並ぶ酒蔵や伏見稲荷大社など見どころが多いスポットです。酒蔵周辺には利き酒ができる酒屋や蔵元直営の食事どころが多くあります。また、宇治茶で有名な宇治市には、世界遺産「平等院」があります。弁天橋のたもとから発着する十石舟も人気で、1日中ゆっくりと楽しむことができます。

◆洛北エリア

自然豊かな洛北エリアは、田園風景の中に、神社仏閣が点在しており、春の桜、秋の紅葉、冬場の温泉と一年を通して楽しめる観光スポットになっています。

世界遺産上賀茂神社、延暦寺をはじめ、牛若丸(源義経)ゆかりの鞍馬寺、京の奥座敷、水に浸すと文字が浮かび上がる「水占(みずうら)みくじ」で有名な貴船神社、紅葉で有名な曼殊院(まんしゅいん〈修学院〉)なども洛北エリアにあります。山裾を走る叡山電車を利用して、車窓からの景色を楽しみながらの観光もお勧めです。

[図表]京都の世界遺産分布図

京都不動産を買うなら最低限押さえておきたい世界遺産

京都には、寺院、神社、城で構成された世界文化遺産が17もあります。このうち14の寺社は、その眺望・景観を保全するための建築制限で守られており、今後の京都の街づくりを考える上でも、外せないポイントとなっています。文化遺産の所在と成り立ちを知り、京都不動産を購入する際の参考にしてください。

(1) 賀茂別雷(かもわけいかづち)神社(上賀茂神社) 京都市北区上賀茂本山

創建678年。1300年以上の歴史を持つ日本最古の神社の一つ。賀茂氏の氏神「賀茂別雷大神」を祀る神社であり、正式名称は「賀茂別雷神社」。

(2) 賀茂御祖(かもみおや)神社(下鴨神社) 京都左京区下鴨泉川町

平安京の造営にあたって、下鴨神社で造営祈願が行われたと伝わるほど歴史が古く、本殿は、御祭神として賀茂別雷神社の祖父神と母である賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)、玉依媛命(たまよりひめのみこと)を祀っている。相生社(あいおいのやしろ)は縁結びのお社として有名で、2本の木が1本に結ばれたご神木は、京の七不思議の一つに数えられている。

(3) 教王護国寺(東寺〈とうじ〉) 京都市南区九条町

東寺は正しくは教王護国寺といい、平安建都の際に官寺として建設。後に嵯峨天皇が唐から帰国した弘法大師空海に下賜され、密教の根本道場(こんぽんどうじょう)として栄え、現在に至る。国宝の五重塔は、高さ約55mの日本最高の木造の塔。雷火や不審火で4回焼失したが、現在の塔は1644年に、徳川家光が再建し、奉納した。講堂には大日如来を中心とした日本最古級の本格的な密教彫像が多数安置されている。

(4) 清水寺 京都市東山区清水

奈良時代末期の778年に僧延鎮が開山し、798年、坂上田村麻呂が仏殿を建立したと伝えられている。「清水の舞台」で有名な本堂は断崖の上にせり出しており、崖下からの高さは18m。舞台からは桜、紅葉といった四季折々の自然の景観を眼下に、京都市街地が一望できる。

(5) 延暦寺 滋賀県大津市坂本本町・京都市左京区

788年、比叡山に伝教大師・最澄が一乗止観院(現在の根本中堂)を創建して比叡山を開く。開山以来、1200年余りにわたって天台密教の拠点として、浄土宗の法然上人、浄土真宗の親鸞、曹洞宗の道元、日蓮宗の日蓮、臨済宗の栄西など、後に新仏教の開祖となった日本仏教史に残る高僧を多数輩出。「日本仏教の母山」と呼ばれ、今もなお、修行道場として、多くの僧たちが日々厳しい修行に励んでいる。

(6) 醍醐寺 京都市伏見区醍醐東大路町

空海の孫弟子である理源大師聖宝が、874年に上醍醐山上に小堂宇(しょうどうう)を建立し、准胝(じゅんてい)、如意輪の両観音像を安置したことに始まる。長い歴史の中、幾度かの火災や応仁・文明の大乱によって下伽藍堂宇が焼失し、現存する堂宇のほとんどは桃山時代以降のもの。951年に建立された五重塔だけが難を逃れ、府内最古の木造建築物として古の姿を今に伝える。

➆ 仁和(にんな)寺 京都市右京区御室大内

888年に宇多天皇が創建。明治期まで皇族が住職を務め、「御室御所」と呼ばれた。応仁の乱では、仁和寺は西軍の陣地になり、東軍の攻撃により寺院が全て焼失。その後、1634年から、徳川家光の寄進によって再建が推進された。二王門の左右には金剛力士像が立ち、京の三大門の一つにも数えられる。

(8) 平等院 京都府宇治市宇治蓮華

1052年、時の関白藤原頼通が、父道長より譲り受けた別荘を仏寺に改め、平等院としたのが始まり。

中島に鳳凰堂の立つ阿字池(あじがいけ)を中心とした「浄土式庭園」と呼ばれる形式の庭園は、1990年からの発掘調査により平安時代築造の州浜(すはま)が検出され、現在は創建当初の姿に復元整備された。2001年、博物館として「平等院ミュージアム鳳翔館」が開館。

(9) 宇治上神社 京都府宇治市宇治山田

長らく創建年不明とされていたが、近年行われた建材の「年輪年代測定法」により、本殿が1060年頃、拝殿が1215年頃の建立と判明し、世界遺産に登録された。左殿は菟稚郎子(うじのわきいらつこ)、中殿は応神天皇、右殿は仁徳天皇を祀る。本殿は日本最古の神社建築。

正しい道へと導く神の使い「みかえり兎」がお守りやおみくじのキャラクターとして人気を博している。

(10) 髙山寺(こうざんじ) 京都市右京区梅ヶ畑栂尾町

創建は奈良時代にまで遡る。13世紀に明恵(みょうえ)上人が後鳥羽上皇より「日出先照髙山之寺(ひいでてまずてらすこうざんのてら)」の勅願を得て再興を果たした。栂尾山(とがのおやま)にある境内は国の史跡に指定されており、京都指折りの紅葉の名所として有名。国宝・鳥獣人物戯画、明恵上人像など貴重な美術工芸品を所有している。

(11)西芳寺(さいほうじ〈苔寺(こけでら)〉) 京都市西京区松尾神ヶ谷町

臨済宗の寺院で、奈良時代に行基が開創したとされている。1339年に夢窓国師を迎えて再興。正式名称である「西芳寺」よりも通称名の「苔寺」の名で知られる。まるで深緑の絨毯を敷き詰めたかのように美しい庭園は、国の史跡・特別名勝に指定されており、庭園内の茶室・湘南亭は、重要文化財に指定されている。

(12) 天龍寺 京都市右京区嵯峨天龍寺

足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔うために、1339年に夢窓国師を開山として創建された。創建以来八度にわたる大火に見舞われており、現在の諸堂は明治以降に再建されたもの。四季折々の美しさを見せる曹そう源池(げんち)庭園は亀山や嵐山を借景にした池泉(ちせん)回遊式庭園で、夢窓国師の作庭とされ、往時の面影を今に伝えている。

(13) 鹿苑寺(ろくおんじ〈金閣寺〉) 京都市北区金閣寺町

相国寺(しょうこくじ)の塔頭(たっちゅう)寺院の一つで、足利義満が1397年に西園寺家より譲り受けた山荘に「北山殿」と呼ぶ別邸を置いたのがはじまり。正式名称は鹿苑寺だが、舎利殿として建てられた「金閣」が特に有名で、一般的には金閣寺と呼ばれる。現在の金閣は1950年の火事で焼失後、再建されたもの。庭園は特別史跡・特別名勝に指定されている。

(14) 慈照寺(銀閣寺)京都市左京区銀閣寺町

室町幕府八代将軍である足利義政によって造営された、東山文化の代表的な寺院。現在は通称である「銀閣寺」の名で広く知られている。庭園が国の特別史跡及び特別名勝に指定されているほか、東求堂(とうぐどう)が住宅建築遺構として国宝に指定されており、我が国最古の書院造りの建物でもある。金閣、西本願寺内の飛雲閣と合わせて、「京の三閣」と呼ばれる。

(15) 龍安寺 京都市右京区龍安寺御陵下町

1450年に細川勝元が徳大寺家の別荘を譲り受け、妙心寺の義天和尚を開山に迎え創建された。方丈庭園(史跡・特別名勝)は三方を築地塀に囲まれた枯山水庭園で石庭として有名。白砂に15個の石を配した名庭は、「虎の児渡しの庭」として知られている。

(16) 本願寺(西本願寺) 京都市下京区堀川通花屋町下ル

浄土真宗本願寺派の本山で、所在する場所から西本願寺とも呼ばれる。親鸞聖人の没後、娘の覚信尼(かくしんに)が現在の知恩院付近に廟堂(びょうどう)を建てたことが起源となる。ともに国宝である阿弥陀堂(本堂)、御影堂(大師堂)の佇まいは圧巻で、能舞台として日本最古の北きた能舞台(のうぶだい)も残されている。京都三名閣の一つである飛雲閣は、秀吉が建てた聚楽第(じゅらくだい)の一部ともいわれており、華麗な桃山文化を今に伝えている。

(17) 元離宮二条城 京都市中京区二条通堀川西入ル二条城町

1603年、徳川家康が上洛時に利用する宿館として築城された。家康と豊臣秀頼との会見場所として使用されるなど、江戸時代、徳川幕府の京都の拠点となった平城。江戸幕府末期の1867年には、15代将軍の徳川慶喜が大政奉還を行った。城内にある史跡、二の丸庭園は特別名勝に指定されている。

 

引用元:幻冬舎ゴールドオンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200229-00023521-gonline-bus_all

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